幻の名作!究極のホラーミステリー「血の季節」

この度、幻の名作として復刊された『血の季節』の著者は
あの名作ミステリー『弁護側の証人』の著者、小泉喜美子さんだ。

『弁護側の証人』は、強烈な大どんでん返しで、
古今の読者の度肝を抜いた法廷ミステリー。
これの初出は、昭和38年。著者のデビュー作でもある。
小泉さんはこのあと、女流ミステリー作家として活躍!
さらに、海外のミステリ作家(P・Dジェイムズなど)
の作品の翻訳も手がけた。

『血の季節』はなんと、吸血鬼伝説がテーマになっている
ホラーミステリーだ。
ホラーと言ってもそれほどの恐ろしさは無く、
むしろ、切なくなると言った方が良いかも知れない
女性ならではのタッチが素晴らしく、格調高い。

血の季節

昭和五十×年、女児殺害の容疑で一人の男が逮捕された。
男は、まじめで知的、凶暴な面はなく、罪を逃れる
ために嘘をついたりしない、物静かに刑の確定を
待っていた。男の弁護士は何とか死刑だけは
免れさせてやりたいとの気持ちで、精神科医の権威に
男の再鑑定を依頼した。
弁護士は「どうもどこか正常ではないと思われるのに
どこがどう正常でないのか説明がつかず、医学的にも
法律的にも実証し得なかった」と言った。

そんな男に興味を持った精神科医は、その男が語る物語を静かに
聞きはじめる・・・。
40年前、男が小学生だった頃、ある国の公使館で金髪碧眼の
兄妹と交遊した非日常の想い出。
美しくはかなった彼らの母の死、そして、その母に
想いを寄せた、公使の部下。
やがて中学生になった男は、成長する友の妹の美しさに
惹かれ始める。だがある夏、彼らは避暑に出掛けたきり
帰国したらしくその後二度と逢うことが出来なかった。

戦争中に青年期を過ごしたと男は、奔放な友人の話に
はっとする。
友人は、男が子供の時通いつめた公使館の前を通ったら、
白い服の女性に抱き着かれ、いきなり首筋をかまれたという。
男はその友人に激しい嫉妬を感じた。
しかし、その友人は空襲で焼け死んでしまう・・・。

彼の語る物語は、狂気に満ちていた・・・・。
一体どこまでが本当なのか?それともすべて幻想なのか?
やはりこの男は頭がおかしいのか・・・?

男が語る物語があまりにもミステリアスで幻想的!
怪しい魔力に満ちていて、とても面白い!!
吸血鬼伝説をものの見事に現代の犯罪と結び付け、
さらに社会派の事件として描いた!
まさに、「吸血鬼+サイコパス+警察小説」(恩田陸)!

1982年に発表され、復刊希望が相次いだ、
幻の名作と言われたホラーミステリーの大傑作!復刊。

『血の季節』
著者:小泉喜美子
出版社:宝島社(文庫)
価格:¥660(税別)

ぼぎわんの次に、「ずうのめ人形」が、来る!!?

「ぼぎわんが、来る」で第22回日本ホラー小説大賞を受賞した
澤村伊智さんの第2作目「ずうのめ人形」が発売されました!

「ぼぎわん」に登場する、ライター・野崎とその恋人で
霊能力者の真琴がこの作品にも登場するので、
シリーズになってゆくのではないかなと期待しているところです。

「ぼぎわん」が民俗伝承から生まれた怪物ならば
「ずうのめ人形」は都市伝説から生まれた怪物と言えそうです。

ずうのめ人形

オカルト雑誌でアルバイトしている藤間は、校了間際になっても
連絡が取れないライターの湯水を探すため、同僚の岩田とともに
湯水の自宅を訪ねた。だが二人はそこで湯水の死体を発見する。
その死体は顔中に「糸」のようなひっかき傷があり、自ら目を抉り
出したような状態だった。

その1週間後、湯水の葬儀の後、岩田が藤間に何かの原稿のコピーを
押し付けた。それは湯水の部屋に遺された手書きの原稿で、湯水の
死の原因はこの原稿にあると言った。
藤間はその原稿を半信半疑で読み始めた。

その原稿に描かれていたのは、「ずうのめ人形」という不気味な
都市伝説で、その原稿を読んでから藤間の周辺に顔中を「糸」で
覆われた喪服姿の人形が現れるようになる。
そして、原稿を押し付けた岩田も湯水と同じような姿で死んでしまう・・・。

「ずうのめ人形」の原稿を読んだ者が次々と亡くなっている。
その呪いは伝染するのか・・・・!?

藤間は自身への迫りくる怪異を防ぐために、湯水の後任のライター
である、野崎と彼の婚約者で霊能者の真琴に原稿の事を相談するのだが・・・。

「ずうのめ人形」の都市伝説の物語と、その原稿を読んだ者たちの
物語が交互に描かれていて、不気味さと緊張感が漂う。
都市伝説から生まれた「ずうのめ人形」の物語は‘ホンモノ’なのか?
怪異の元を断つことが出来るのか?

「ぼぎわん」も家族の隙間に入り込んでくる化物だったが、
この「ずうのめ」はそれ以外の全く関係のない人にまで呪いを
かけてしまう凄い奴!

さらに、「ぼぎわん」よりもミステリー性が高い。
絶妙なタイミングで張られる伏線。クライマックスでは
その張り巡らされた伏線が見事に回収され、さらなる
どんでん返しに‘超’驚かされることになる。

「ずうのめ人形」も最大の怖さで迫ってくる、‘超’面白怖い
ホラーミステリーだ。

『ずうのめ人形』
著者:澤村伊智
出版社:KADOKAWA
価格:¥1,650(税別)

ホラー小説フェア2016夏!本の学校はまミスコーナーで開催開始!

本の学校今井ブックセンター「はまミスコーナー」で
今年も始めました。
「ホラー小説フェア2016夏」

下記展開画像です!
ホラーフェア展開②
ホラー小説フェア全体

ホラーフェア展開①
ホラー小説フェア看板付き

今年は昨年、一昨年と比較してアイテムを多めにしました。
さらに、ホラー小説の中でもミニジャンル分けしています。
「幽霊実話系」「怪異・幽霊小説」「スプラッタホラー」
「バンパイヤホラー」といった具合です。

目玉は、先日このブログ上でも紹介した
澤村伊智さん「ぼぎわんが、来る」(KADOKAWA)
幽霊実話系では外せない、加門七海さんの「祝山」(光文社)
この作品は著者が実際に体験したことが小説になっている作品。
こわかったですよ~。過去にこのブログでも紹介しました。

そして極めつけはゾンビ・バンパイヤ系!
日本が誇る究極のバンパイヤ小説、小野不由美さんの「屍鬼1~5」(新潮社)
をずらりと並べてみました。
この「屍鬼」は、一巻目を読んだらすぐに2巻目が読みたくなります。
だんだんと怖さが増していき、闇に包まれたベールがはがれ
究極の恐怖が待ち構えています。
ただ、バンパイヤが人を襲うだけではなく、生と死についてかなり
深く考えさせられます。

読んでひたすら怖くなる本集めています!

‘ぼぎわん’・・・。怖い!怖すぎる!!!

2015年の日本ホラー小説大賞 大賞受賞作!
「ぼぎわんが、来る」澤村伊智著。
何だろう・・・「ぼぎわん」て・・
気になって検索したら、出版社のWEBサイトの「ぼぎわん」
ページに辿り着き、読んだら物凄く面白そう!
怖いと思うより読みたいという気持ちが強く働き、
ホラー小説は基本的に苦手なくせに、読みました。

いや~~~~。物語の面白さと「ぼぎわん」の怖さにぶっ飛びました。
久しぶりに‘超’面白怖いホラー小説を読みました。

それもそのはず、選考委員の方々が絶賛していらっしゃる。

ぼぎわん

小学生の時、奇妙で怖い体験をした、田原秀樹。
だが、大人になり結婚し子供を授かった。
ある日、田原に奇妙な事件が起こる。
会社に女性が訪ねてきたと同僚が教えてくれた。
だがその女性は妙な事を言ったという。
「チサさんはいますか?」と・・・。
田原の妻は妊娠中で出産を控えていた。
生れた子どもが女の子だったら、娘に
「知紗」と名づけるつもりだったのだ。それがなぜ・・・?
その時、知らせてくれた同僚の異変に気づいた!
ワイシャツの腕が真っ赤に染まり、血が
流れ出ていた!?悲鳴を上げる同僚。
一体何が起こったのか!?

やがて、娘が生まれ、知紗と名付け、妻と3人で幸せに暮らし、
SNSでパパ友の会を立ち上げイクメンを気取った。
だがある日異変が起こる!家に置いていたお守りが
ずたずたにされており、妻子は恐怖に震えていた。
田原はすぐに友人の民俗学者に相談する。
その時またもや、自分の家族を呼ぶメールが届く。
危機を察した田原は、オカルトに強いライターを紹介され、
その伝手で比嘉真琴という霊媒師に出会う。
だが、真琴から言われたのは「奥様を、娘さんを愛してあげて
ください。」たったそれだけだった。
田原は怒りを通り越し、強い憤りを感じた・・・。

しかし、真琴の田原に対する指摘は的を得ていたのだ!

子どもを狙う「ぼぎわん」。それは伝承の中の怪物。
家族に隙間が出来るとそこにつけ込み、子どもをさらおうとする
怖ろしい怪物だ。
霊媒師・比嘉真琴をもってしても消滅させることができない。
他の霊媒師と力を合わせ、ぼぎわん退治に乗り出すが、
一人の霊媒師が「こんな恐ろしい者、よばないと来ない」と
謎の言葉を残し去ってしまった。

得体の知れない何かに脅かされる主人公。
じわじわと何か恐ろしい者に魅入られたのだと気づく。
それが子供のころの体験から来るているという伏線。
ぼぎわんがなぜ田原の子どもをさらおうとするのか?
呼ばなければ来ないという意味は何か?

ぼぎわんの恐ろしさが際立っている!
そしてさらに、「ぼぎわん」が現れた真相に驚愕する。

得体の知れない怖ろしい怪物との闘いと、
それがなぜ現れたのかを追うミステリー仕立て。

とんでもなく恐い!とんでもなく面白いホラーミステリーだ!

『ぼぎわんが、来る』
著者:澤村伊智
出版社:KADOKAWA
価格:¥1,600(税別)

いよいよ映画公開!恐怖のホラー小説「残穢」

家に置いていたら、呪われるかも知れない・・・・
と言われる、読んだら本当にそう思うほど怖い、
ホラー小説「残穢」。
映画化されるということでどんな映画になるのか?
期待大です!いよいよ1月30日に公開となります。

残穢文庫

ある日、ホラー作家の元へ届いた怪奇現象を伝える手紙。
前に「怖い話」を募集したことがあるが、それを覚えていた
ファンの女子大生からの手紙だった。
それには、自分が住んでいるマンションの和室で
奇妙な音がする。何かが畳をさ~っとこする音。
最初は音だけだったものが、和室の暗闇に目をやると
何か長いものが揺れているのが見える・・・・との内容。
作家はその内容に既視感を覚え、以前ファンから集めた
「怖い話」を探す。そして似たような話を見つける。
二つ手紙の住所を見ると同じマンションだとわかる。
同じマンションの別の部屋で怪現象が起こっていた・・・・。
作家は、手紙をくれた女子大生とともに怪異の大本を辿ることに・・・。

怪異現象のシーンは読んでいるときそんなに怖いと思わなかった。
それは多分、はまさきが想像力に乏しいから・・・?
想像力の逞しい人は、きっともっと怖かったはず!
映画の予告動画を見るとめちゃめちゃ怖いじゃないですか?!
ものすごく原作に忠実に描いてあり、うわ~っと思ってしまいました。

さらに、映画の出演者がその怖さを盛り上げています。
主人公のホラー作家を竹内結子さん。女子大生を橋本愛さん。
この美しいお二人が恐怖におののくシーンがどんだけ怖いの?
と思った。多分演技ではなくリアルに怖かったと思います。
ほんとにお疲れ様と言いたいくらい。
予告編だけでこれだけ怖いので、本編は覚悟をもって観に行かなくては!

原作も覚悟をもって読んでほしい。
映画を観てから原作を読むと、恐怖が2倍になります!

『残穢』
著者:小野不由美
出版社:新潮社(文庫)
価格:¥590(税別)

衝撃!悪魔憑きの正体!「バチカン奇跡調査官12 悪魔達の宴」

「バチカン奇跡調査官」シリーズ最新刊、「悪魔達の宴」。
‘悪魔が少女に憑依する’というシリーズ中で一番恐怖を覚えた作品。

しかしそれは本当に悪魔の仕業なのか・・・?

バチカン悪魔宴

クリスマスの夜、4人の少女たちは人目を避けて儀式を始めた。
だが、その儀式の途中で一人の少女が恐怖にかられ逃げ出す。

新年を迎えたドイツ、ニュルンベルグ。
その市長が、フラウエン教会のベックマン司祭に
「娘に悪魔が憑いた・・・」と告白した。
ベックマン司祭は、エクソシズムの講義を受けたという
若き神父・トビアスとともに市長の娘・ヘンリエッテを
見舞う。そこで二人が見たものは、おぞましき姿に変貌した
ヘンリエッテだった。
二人は早速、バチカンへ助けを求める。
バチカンは、エクソシストの講義を受けたロベルトと
イタリアに住むベテランエクソシスト、ジャンマルコ・ジャンニー二
の二人をドイツ・ニュルンベルグに派遣した。
その頃、トビアス神父はたった一人で、悪魔に憑依された
ヘンリエッテと戦っていた。
だが、精神的にも肉体的にも疲れ果てていたトビアス神父にも
悪魔の手が伸びようとしていた・・・。

一方、ニュルンベルグ駅に降り立ったロベルトとジャンマルコは、
駅で不気味な魔法陣を眼にする。
この頃、駅では連日決まった時刻に人が死ぬという怪現象が発生していた。
そして、街では至る所で‘悪魔’の目撃情報が報告され、住民たちの
恐怖心は日毎に募っていた。

ロベルトとジャンマルコは、トビアス神父と合流し、3人で
ヘンリエッテの悪魔祓いを始めるが、ベテランのジャンマルコを
もってしても容易に祓うことが出来ず、日に日に憔悴してゆく。

そんな時、平賀の弟・良太は兄からロベルトの悪魔祓いの話を聞き
平賀にロベルトの元へ行くようにアドバイスをする。
良太に何かを感じた平賀は、早速ロベルトの元へ向かった。

そして、ロベルト、ジャンマルコ、平賀の3人は悪魔と対決することになる。

殆どが悪魔祓いの難儀なシーン。読んでいると恐くなる。
本当に少女に悪魔が憑依していると感じる。
今回も、吸血鬼事件の時と同じように、科学で解明することが不可能な
状況になったのでは・・・と思う。
しかし、平賀の冷静かつ冷徹な科学者の眼が真相を暴くのだ!

シリーズ中、一番恐くて、多分一番面白く、印象に残る作品!!

『バチカン奇跡調査官 悪魔達の宴』
著者:藤木稟
出版社:KADOKAWA (角川ホラー文庫)
価格:¥680(税別)

恐怖漫画の極致!「妖鬼妃伝」

「ガラスの仮面」で有名な漫画家の美内すずえさん。
実は、めちゃめちゃ怖い恐怖漫画を描いておられます。

あの美しい絵で恐怖漫画を描いたらどうなるか!
それはそれは、凄まじい怖さです。

美内すずえ漫画

「妖鬼妃伝」は表題の「妖鬼妃伝」と「白い影法師」
「みどりの炎」の3作品が収録されている。
この3作品の中で一番怖いのは「白い影法師」だ。

梅雨が始まった頃、涼子(すずこ)は、
父親の仕事の都合である女子高へ転入した。
涼子が転入してきたクラスには一つだけあいた席があった。
眼の悪い涼子はその席に座った。
しかし、そこに座った事から予想もしない出来事が頻発した。
見えない人の気配を感じる・・。冷気を感じる、
体調が悪くなる!さらに幽霊らしきものが見えたのだ!
そして、涼子はクラスメートから数年前に
この教室で亡くなった女子生徒がいるということ、
この席に座った生徒がみな6時間目くらいから怪現象
を体験し、座っていられなくなるということを聞いた。
身の危険を感じた涼子は、霊感の強い同級生に相談する。
だが・・・・。

怪奇漫画の絵柄は、いかにも怪奇ものということで、
それほど怖いと思わないが、美内すずえさんの絵柄は普段はとても美しい。
だが、それが霊であったり、霊現象の恐怖に憑りつかれた主人公の表情など
描かかれると凄みを増す。トラウマになるくらいの恐さで迫ってくるのだ。
物語も、転校してきた少女に非業の死を遂げた少女の霊が憑りつくという
学園恐怖漫画の王道をゆくストーリー。
物語の展開とその凄すぎる絵柄で、群を抜いた面白さと怖さ。

はまさき、中学校か高校の時に読んで、あまりの怖さに
絶対にわすれられない恐怖漫画となった。
大人になって改めて読んでも、その怖さは変わらない!

本の学校はまミスコーナーのホラー小説ミニフェアで展開中!

『美内すずえ傑作選1 妖鬼妃伝』
著者:美内すずえ
出版社:白泉社(文庫)
価格:¥648(税別)

肌が粟立つ!マジ!戦慄!!「残穢」

家に置いておくのは怖い!という感想が多く、
怖くてとても読めないと思っていた、小野不由美さんの
「残穢」を読みました。
この作品、山本周五郎賞受賞作です。

確かに、この本は家においておきたくないくらい怖いです。

残穢

「私」という語り手は多分、小野先生本人ではないかと思います。
作家で若いころはライト系の小説のあとがきに、怖い話を募集していたと
書かれているので・・・・。
その頃から「私」の作品を愛読してくれいている、ファンの
女性(仮に久保さん)から、久しぶりに怖い話が届いた。
内容は、引っ越し先のマンションで、怪異現象が頻発するというものだった。
何かが畳を擦る音が聞こえる。さらに、帯のようなものが寝室の床を這うのを見た!

この怪異現象に何かひっかかるものを感じた「私」は、過去に読者から
寄せられた怪談話を探した。
そして、比較的近年に届いた手紙の中に、久保さんと同じ住所のものがあった。
マンション名は書かれていないが、町名・番地が同じものだった。
その手紙の主は女性(仮に屋嶋さん)で、一児の母だった。
屋嶋さんは、半年前ほど前に現在のマンションに引っ越してきたが
越して以来、2歳になる子供の様子が可怪しい。何もない宙をよく見つめている。
何があるのか尋ねると、「ぶらんこ」という。子どもの目には、そこに
ぶら下がって揺れている何かが見えるらしい。
さらに床を何かが這う音も聞こえたというものだった。

同じマンションの違う部屋で、似たような怪異現象が起こるものなのか?
「私」は、その怪異現象の原因をつきとめるために、久保さんと一緒に
調べ始めた。

怪異現象の原因を辿っていくと、マンションの建っていた土地を
巡る因縁めいた話に突き当たった・・・。
そしてその土地に住んでいたそれぞれの家族は、なんらかの理由で
よその土地へ越している・・・。
現代から遡って、バブル期、高度成長期、戦後期、戦前、明治大正期まで
調べ、たどり着いた怪異現象の元は、多岐に及んでいた。
だが、その大本はたった一つの「家」なのだ。
その家、土地で起こった悲惨な事件が、怪異を起こし、穢れとなって
伝染してゆく・・・。それは人であったり、土地であったり、家であったり・・。

その過程を読んでいるだけで、肌が粟立つ。怪異現象そのものはそれほど
強烈ではないのに、何がそんなに怖いのか!
触れてはいけないタブーな怪談・・・。
さらに「伝染する」というその言葉に衝撃を受けた。

あまりに怖すぎて、もうこの本を開きたくない・・・。

『残穢』
著者:小野不由美
出版社:新潮社
価格:¥1,600(税別)7月下旬に文庫発売予定。

ぞわぞわ~っと鳥肌が・・・「どこの家にも怖いものはいる」

刀城言耶シリーズや、ホラー小説で人気の三津田信三さんの
最新作、ホラー作品「どこの家にも怖いものがいる」を
この夏読みました。
タイトル通り、「家に何か不気味なものがいて怖い」と
いうテーマ。
たまに家が軋むことがあるけど、もしかしてそれって怪現象・・・?
と思ってしまうほどリアルな描写に参ってしまいました。

どこの家にも怖いものはいる

ホラー作家・三津田信三は、出版社のある編集者から
もたらされた5つの怪談話に興味をそそられる。
時代も場所も定かではないが、それらの家で起こった
怪奇現象から何らかのつながりがあるのではと疑問を持つ。

ある家に引っ越してきた若い家族。
しばらくすると、幼い娘が奇妙なことを言い出した。
壁の中に誰かがいると言うのだ。
その誰かとはキヨちゃん。
娘は毎日キヨちゃんと遊んでいると言った。
さらに、雨でもないのに、ザァ~ザァ~と音がする。
そしてある日、娘と遊んでいた近所の男児が行方不明に
なってしまう。「向こうからくる 母親の日記」

昭和初期?神隠しや、物の怪が本当にいると信じられて
いたころ。
主人公の少年は友達との遊びに夢中で、
「入らずの森」へ踏み込んでしまい、
その森で「割れ女」に出会ってしまう。
たまらず少年は、不気味な屋敷、
「晨鶏(しんけい)屋敷」に逃げ込んでしまう・・。
「異次元屋敷 少年の語り」

ある大学生が、格安物件のアパートに引っ越してきた。
あまりの安さにうきうきし、格安の理由を聞かずに
入居してしまった。
そのアパートは入居者数が極端に少ない。
大学生と隣に一人暮らしの女性、向かいの男性。
真下の男性くらい・・・。
で、夜中に妙な音が響き始めた。
しかも屋根の上から・・・
不気味に感じた大学生は少し調べてみることに。
「幽霊物件 学生の体験」

新興宗教の教祖のようになってしまった母親から
再三にわたり、こちらの家にくるようにと言われる、女性。
しかし、女性は母親が急激に変わり、母を連れ戻そうと
迎えに行った父や姉が軟禁状態にある家には決して
近づきたくなかった。
だが幼い弟まであの家に囚われてしまった。
女性は、弟を助け出すためについにあちらの家に
行くことを決心する。
訪れたその家で女性が発見したものとは!
おぞましい惨状に眼を疑う!
「光子の家を訪れて 三女の原稿」

そして最後の「老人の記録 或る狂女のこと」が
上記の4つの記録の原因になっているのでは?
著者と編集者は結びつけようとするが・・・・
あるとき某家の当主の年の離れた13歳の妹が
行方不明になった。
神隠しが頻繁に起こっていた時代・・?
だが、その妹は一週間後に発見された。
そして身ごもっていることがわかった。
お腹が大きくなるにつれ頭がおかしくなっていく妹。
とうとう到頭蔵に入れられてしまう・・・。
そして生まれた女の子は、心身ともに強い障害を持っていた。
さらに、成長するにつれ化け物のようになっていった。

5つの話は、何かのキーワードで繋がっている。
そしてその「土地」と「家」に因縁があり
怪異現象が起こっているのでは?
ならばその土地と家はどこに・・・・
5つの怪談話も怖いが、著者と編集者が
繋がりについて推理していく過程がリアルで怖い。

ちょっと変わった構成になっているので、面白い。
でも、夜中に目覚めると本の内容を思い出して
少しでも音がすると緊張して眠れなくなります。
ご注意。

『どこの家にも怖いものはいる』
著者:三津田信三
出版社:中央公論新社
価格:¥1,600(税別)

めちゃめちゃリアルで恐い!「祝山」

8月になりました。
8月の読書と言えば、ホラー小説。
本の学校のミステリー棚にも
ホラー小説コーナーを設置しました。
その中でも、一押しアイテムにしています、
加門七海さんの「祝山」・・・。
ほんとに恐かったです。

祝山

ある日、作家・鹿角(かずみ)は友人からメールをもらう。
それは、廃墟へ肝試しに行ったあとから友人の周りで
奇妙なことが起こっているので、相談にのって欲しいとの内容だった。
鹿角はホラー小説を得意とする作家で、締切間近の作品を抱え、
ネタになればいいかな、という軽い気持ちで友人に会ったのだが、
廃墟で撮影したと思われる写真を見せられた瞬間、
強烈な嫌悪感と恐怖感が身体中を駆け抜けた。
そして否応なく巻き込まれてしまう・・・。

これは著者が体験した出来事がベースなっているため、
幽霊と遭遇したとか、凄まじい霊現象に襲われたとかそういう怖さではなく、
肝試しに行った友人たちが、徐々に壊れていく過程がリアルで怖い。
まるで、恐怖体験記を読んでいるような感じ。
‘祟られる’という不気味な怖さがじわじわと迫ってくる。
さらに、「祝山」の本当の意味が分かった時の衝撃!
まじで肌が粟立ち、ぞっとしました!

面白半分の肝試しは絶対にだめだよな~
さらに神聖な場所でも何かの謂れがあるかもしれないので、
そこのものはむやみに持ち帰らない方が良いと思うし・・・
多分、写真もやめておいたほうがいいのかも・・・。
などなど、読んでいてすごく考えさせられた。

で、家に置いておくのが怖くて、ホラー好きの友人に
貸しています。

『祝山』
著者:加門七海
出版社:光文社
価格:¥476(税別)