人気作家競作!「共犯」がテーマのアンソロジー集。

ハルキ文庫の「共犯関係」を読みました。
今、人気急上昇中のミステリー作家さんたちの
短編アンソロジー集です。
秋吉理香子さん、友井羊さん、似鳥鶏さん、乾くるみさん
芦沢央さんらの競作!

どの短編も読者をやすやすと裏切る!
「ひねり」というスパイスが強烈に効いた傑作揃い!

「Partners in Crime」秋吉理香子
ナルシストを気取った妻帯者がバーで出会った女。
夫に隠れ浮気を楽しむ、W不倫の関係に。
きわどい恋愛ゲームを楽しんでいたはずが、
女の方が執着し始めた。
深刻になるまえに別れたい・・・。
だが女は次第にストーカーに変貌してゆく・・・。
クライマックスに用意された「共犯関係」の鮮やかな
逆転劇に眼がくらむ!!

「Forever Friends」友井羊
夏祭りの日、少年と少女は街を出ることに・・・。
「転校」という別れに反旗を翻すかのような
2人の行動。しかし少女には秘密があった・・・。
子どもたちの行動が切ない展開に・・・。
思わず胸キュンのラスト。

「美しき余命」似鳥鶏
交通事故で両親を亡くし、生き残った少年も
事故の後遺症で余命3年という難病を患うことに・・・。
親戚に引き取られた少年は、その家族の優しさに
包まれ死にゆくはずだった・・・のに奇跡が起きた。
予想外の出来事にどう反応したら良いのか
わからない登場人物たちの微妙な心理状態を、
目を疑うようなクライマックスに着地させ、
見事な共犯関係を完成させた凄いミステリ!

「カフカ的」乾くるみ
高校時代、手紙のやりとりで親交を深めていた
友人と電車の中で再会した女性。
卒業してから疎遠になっていたが、友情が復活。
お互いのプライベートを話している内に、
その友人が「交換殺人してみない?」と言った。
冗談だと思ったが事態は思わぬ方向に動いていく。
この作品自体が不気味な雰囲気を漂わせている。
読んでいくと次第に背筋が凍るような・・・怖さ。

「代償」芦沢央
デビュー後、ヒット作に恵まれずにいたミステリ作家。
だが、今回描いた作品は自分でも自信作と
太鼓判がおせる会心作だった。いつものように
妻にまっさきに読んでもらうと、意外な事実が!
酷似した作品がネット上に上がっているという・・・。
疑心暗鬼の心理描写が半端ない!戦慄もの。

短編ミステリーの醍醐味を堪能できる!凄すぎる5編。

『共犯関係』
著者:秋吉理香子/友井羊/似鳥鶏/乾くるみ/芦沢央
出版社:角川春樹事務所(ハルキ文庫)
価格:¥640(税別)

本格医療ミステリーの傑作!「背律」

島根在住のミステリ作家・吉田恭教さんの人気
ミステリーシリーズ第4弾「背律」を読みました。

このシリーズは、厚労省のお荷物役人・向井俊介が、
医療事故などの調査の過程で、偶然にも事件に
遭遇し警察と協力して真実を暴くというシリーズ。

シリーズ既刊本は、第3回ばらのまち福山ミステリー文学
新人賞優秀作品賞を受賞した、「変若水(をちみず)」、
「ネメシスの契約」「堕天使の秤」がある。

向井が厚労省のお荷物と謂われる所以は、読みすすめてゆくと
なるほど!!と思わず手を打ちたくなるほどわかる。

大好きな父親をALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病で
失った、真田姉妹。父親は自分の死がどういう状態で訪れる
のか良くわかった上で、延命措置をとらず死なせてほしいと
懇願していた。ところが母親が延命措置をとってしまった・・・。

父の死後、その後を追うように母親も逝ってしまった。
その後真田姉妹は医療の道へと進んだ。
姉は旺林医大病院の神経内科の医師に。妹は看護師に。

そんな時、姉の婚約者・長谷部が何者かに殺害された。
事件当日、食事の約束をしていた真田姉妹が
マンションを訪ねると、長谷部は血だらけで
リヴィングに倒れていたのだ。
第一発見者となった、真田姉妹。二人は事件が
起こった時間、墓参りに買い物とアリバイは完璧だった。

そこで、事件の担当となった女性刑事らは、
事件当日長谷部医師を訪ねた人物を防犯
カメラから割り出すと、病院関係者が二人浮上した。
一人は、親友の脳神経外科医・坂本医師、もう一人は
肝臓外科医の安住医師だった。
病院で聞き込みを開始すると、長谷部と安住が
が激しい口論をしているところを何人かが目撃していた。

警察は安住に焦点を絞ろうとしていた。

一方、厚労省医療安全推進室の大内山碧は、
6か月の期限付きで、医療事故調査支援センターに
出向していた。彼女のサポートは、厚労省の
お荷物と云われている、向井俊介だった。
一番一緒に仕事をしたくないヤツ・・・・。
碧は心の中で毒づきながら、向井とともに医療事故の
内部告発があった、旺林医大病院の肝臓外科病棟で
医局長から話を聞いていた・・・。

長谷部医師殺害事件と、向井たちが調査する医療事故。
そこに浮上する一人の医師。

ALS、医療事故、殺人事件・・・これらが複雑にからみあい、
事件は混迷を極めてゆく・・・。
物語が進むにつれ、各所にちりばめられた謎のピースが
ひとつひとつあわさってゆく。それはやがて一つの事件
へと繋がり、読み手を鮮やかに裏切るのだ。
その手際が鮮烈過ぎる!

しかし、忘れてはならない、医療の切実なテーマも
しっかりと描かれた本格医療ミステリー。

『背律』
著者:吉田恭教
出版社:原書房
価格:¥1,800(税別)

哀切に満ちたミステリー「盤上の向日葵」。

この秋話題のミステリー作品「盤上の向日葵」(中央公論新社)
を読みました。
著者は、「検事の死命」「検事の本懐」
「孤狼の血」「慈雨」など、胸を打つミステリー作品を描く、
柚月裕子さん。
大好きな作家さんです。

今回は、「盤上」とタイトルにあるように、将棋の世界を
舞台にした本格ミステリーです。

埼玉県天木山山中で白骨死体が発見された。
その白骨死体は日本に7つしか存在しないといわれる、
初代菊水月作の将棋の駒を抱いて埋められていた。

元奨励会でプロをめざしていたが、夢破れ刑事に転身した佐野刑事は、
将棋に詳しいだろうということで、頑固で偏屈な石破刑事とコンビを
組まされ、その名駒を頼りに捜査することになった。

片や、将棋界では世紀の対局が迫っていた・・・・。
若き天才棋士・壬生芳樹竜昇とプロ棋士の養成所である
奨励会を経ず、実業界から転身し特例でプロになった
東大卒のエリート棋士・上条圭介との竜昇戦だ。
特に、上条圭介の特異な経歴と天賦の才能をワイドショーが
連日競って取り上げていた・・・。

2人の刑事が名駒を追って、事件の核心へと迫ってゆく過程と
特異な経歴の持ち主・上条圭介の生い立ちが交互に描かれてゆく。

父親に育児放棄された上条少年。それでも父を慕う姿が切なく迫る。
将棋の恩師・唐沢との出会いで人間らしく生きることを
学ぶ上条少年。唐沢の教え通り、ただひたすら勉学に励む。
しかし、上条が大学時代、裏の将棋界(お金をかけて将棋をさす)
の真剣師と出会い、命がけで将棋をさす真剣師たちとの
勝負に心を奪われてゆく・・・。

上条の生い立ちを読んでいくと、胸が苦しくなる。
恩師・唐沢の教えを胸に必死に生きるが、彼の
特異な才能に目をつけ利用しようとするものと出会う。
実業家として成功しても心が休まることはない。
自分の運命に翻弄されつつ生きる上条の姿がとにかく
哀切極まりない・・・。

読んでる途中で、何だか懐かしい感じがした。
この展開・・・松本清張の「砂の器」を彷彿とさせた。

柚月さんにしか描けない、「慟哭」!のミステリー

『盤上の向日葵』
著者:柚月裕子
出版社:中央公論新社
価格:¥1,800(税別)

政界の深い闇に斬りこむ!「トップリーグ」

「震える牛」「血の轍」「不発弾」等で、日本の
経済・金融界の闇を抉り出してきた、相場英雄さん。

今回は、政界の深い闇に斬り込んでいます!
「戦後最大の政治疑獄」と呼ばれ、‘元’総理大臣が
初めて逮捕されたあの事件の裏側に迫ったフィクション。
しかし、これは本当にフィクションなのか?と思ってしまいます。

発行部数400万部を誇る、中堅在京紙・大和新聞の松岡は、
入社15年で経済部の敏腕記者だ。
ところが、突然政治部へ異動になり、官房長官番となった。
松岡は官房長官お気に入りの記者となり、またたく間に
トップリーグ(総理大臣や官房長官、与党幹部に食い込んだ
ごく一部の記者のこと)へと上り詰める。

一方、大和新聞で松岡と同期入社だった酒井は、現在
大手出版社で週刊誌の記者をしていた。
ある時、興味深いニュースを聞く。
五輪関連施設建設地から、一億五千万円もの金が入った
金庫が発見されたとのニュースだった。
担当所轄の刑事課長に詳しい話を聞くと、発見された
紙幣は、福沢諭吉ではなく聖徳太子だという・・・。
しかも金庫は大正末期から昭和初期に使用されていた
ような年代物だと・・・。
さらに、紙幣を束ねてある帯封は日銀のものと、
もうひとつは、現在では大手メガバンクに
吸収された、長期信用銀行系のものだった。
その銀行は「日本不動産信用銀行」通称「日不銀」。
その銀行名を聞いた酒井は、バブルがはじけた1990年代前半、
当時の与党副総裁と秘書が、脱税容疑で東京地検特捜部に
逮捕された事件を思い出した。
「日不銀」は戦前戦後にわたり政界の専門銀行のような
役割を担っていた。

発見された聖徳太子が日銀から「日不銀」へと
送金された時期が1973年(昭和48年)だと確認した
酒井は、当時の銀行関係者から取材を始めた。
その取材は、やがて政財界を巻き込んだ政界最大の汚職事件
‘クラスター事件’にぶちあたる・・・・。

永田町、官邸最大のタブーと言われるあの事件の顛末!
政治家からクリーンなイメージをすべて奪い去った
「戦後最大の政治疑獄」をモチーフに描いた
フィクション。小説だからこそ描けた政界の闇!

これが「戦後最大の政界汚職事件」の真実だと思わせる
ほどのリアルさ!小説に登場する閣僚たちの名前に、
実際の事件の当事者たちの名前をあてはめながら読んで
いくと、事件の真相が見えてくる・・。そんな気がしてくる!

どれほど不正を暴こうとも、鉄壁の要塞に阻まれる。
翻弄され、それでも正義を貫こうとする記者たちの
‘魂’に心が揺さぶられる!

『トップリーグ』
著者:相場英雄
出版社:角川春樹事務所
価格:¥1,600(税別)

鬼教官・風間が新米刑事を現場で鍛える!「教場0」

長岡弘樹さんの人気警察小説シリーズの最新刊が
発売されました!
「教場0 刑事指導官・風間公親」です。

前2作を上回る面白さで、興奮しました。

凶悪事件、難事件の増加に県警本部がとった秘策とは!

「教場」「教場2」は警察学校が舞台だったが、
本作は、警察学校の教官になる前の風間が、
新米刑事を現場で育てる「風間道場」が舞台。
「風間道場」に送り込まれた刑事たちと
犯人たちの攻防に息が詰まる。

「仮面の軌跡」
借金の肩代わりに男と交際を続けてきた女性。
だが、大企業の御曹司から見初められ、男に別れを告げるが
二人の秘密を暴露すると言われ・・・。

「三枚の画廊の絵」
数年前に離婚し、客からの依頼で細々と絵を描きながら
画廊を営む男性。唯一の楽しみは親権を手放した息子の将来。
画家を目指す息子だったが、その夢を阻むものが現れ・・・。

「ブロンズの墓穴」
息子が学校でいじめに遭い登校拒否になってしまった。
母親は、女性担任に再三いじめの相談をしようとするが、
いじめ存在を認めようとしない・・・。
面会を拒む担任の態度に、母親は業を煮やしていた。

「第四の終章」
隣室に住むかけだしの女優に思いを抱く男性。
そんなある日、男性の元へその女優が助けを求めてきた。
彼女の部屋で俳優仲間の男性が自殺しようとしているという。
その俳優には何度かアパートで声をかけられたことがあった・・・。

「指輪のレクイエム」
50歳で自宅デザイン事務所を営む男性には、70歳で認知症に
なった妻がいた。20歳の歳の差はあるが、愛し合って結婚した。
しかし男性は妻の介護に疲れ果てていた・・・。

「毒のある骸」
昇進目前の法医学教授は、服毒自殺した遺体を司法解剖する際、
事故を起こし助教に大けがを負わせてしまう!!

誰が事件を起こしたのか?ではなく、事件はなぜ起きたのか?を追う
警察ミステリだ。著者独特の着眼で描かれるそれぞれの短編には、
緻密に計算された伏線が仕掛けられ、回収された真相の先に
さらなる一撃が襲う。
前2作を上回るストーリー展開は、今までの警察ミステリ
にはないひねりが効いていて心が揺さぶられる。

「刑事コロンボ」「古畑任三郎」を彷彿とさせる
倒叙ミステリーの傑作が誕生した!

『教場0 刑事指導官風間公親』
著者:長岡弘樹
出版社:小学館
価格:¥1,400(税別)

紅霞後宮物語第零幕2「小玉と文林」の出会いが描かれる!

30歳でいきなり皇后になってしまった、稀代の天才軍人・関小玉。
後に神格化され、武芸と子どもの守護神として愛され続ける。
そんな彼女は、なぜ軍人になったのか・・・?
後に皇帝となり、彼女の夫にもなる文林とはいかに出会い、絆を
育んでいったのか・・・?

皇后になる前の彼女の生き様もまた伝説だ。

家の事情もあったが、軍人として生きる覚悟を決めた関小玉。
女性でありながら、彼女の軍人としての才能には眼を瞠る。

小玉が軍隊に入った時の皇帝はやたらと戦好きで
軍人たちは度々戦に駆り出される。
そんな中で、小玉は次々と目覚ましい活躍をし、
異例の速度で昇進、二十歳で‘校尉’となっていた。

男運の方はというと、何度かいい話がありつきあったりも
したが、結局長くは続かない。
明慧を筆頭に仲間や上官にも恵まれ、職務に邁進していた。

ある日、小玉のもとに新たな部下が配属されてきた。
武科挙に合格した英才。さらに驚いたのは
その男の美しさだ。眉目秀麗などと一般の
形容詞では間に合わないくらいの、美男子・・・。
この顔では、女だけでなく男からも言い寄られて
苦労したろうなと思わせるほど・・・。

超美男子で武科挙に合格した三才年下の部下。
叩き上げの自分とは正反対の男・周文林。
小玉は彼を見た瞬間!
「絶対にそりがあわない」と思った。

その予感通り小玉と文林はことあるごとに
衝突を繰り返した・・・・。

小玉の武官としての判断の凄さや、
信頼し合う仲間たちとの交流、そして文林との
衝撃的な出会いが描かれた第零幕の二。

対立しあう二人がどう絆を深めてゆくのか・・・
今後の外伝シリーズに期待大です!!!!

『紅霞後宮物語第零幕二 運命の胎動』
著者:雪村花菜
出版社:KADOKAWA(富士見L文庫)
価格:¥600(税別)

益々面白さが増す!‘鏑木特捜班’シリーズ第3弾「ダンデライオン」

横溝正史ミステリ大賞受賞作「デッドマン」から3作目。
難解な殺人事件の真相を暴いた鏑木警部補率いる
「鏑木特捜班」が三度集結した。
シリーズ2作目の「ドラゴンフライ」では、トンボが
キーワード、そこから猟奇殺人の謎を暴いた。
そしてシリーズ3作目は「ダンデライオン」。
タンポポが謎を呼ぶ!?

ひらめきと刑事の勘が冴える・鏑木警部補、べらんめぇ口調
で口は悪いが情に厚い鏑木と同期の正木警部補、お金持ちで先輩にも
時々上から目線、けれども真面目で今風の若者・姫野巡査。
科警研でプロファイリングが専門、ものすごく頭が切れる澤田。
この4人が今回挑むのは、空飛ぶ死体の謎だ・・・・。

「デッドマン」「ドラゴンフライ」以上の面白さで物語が展開する。

東京の山間部にある廃牧場のサイロで、16年前に失踪した
女子大生の死体が発見された。
その死体は、サイロの中の上空3メートルのあたりで、胸を鉄パイプで
貫かれたまるで空中を飛んでいるような姿だった。
そして、中から閂がかけられていたため密室。
しかも、その死体は16年も経過しているにも関わらず、
ほぼ死んだときの状態のままミイラ化していた。
女子大生の名は、日向咲(えみ)。
鏑木特捜班の姫野巡査はその名前を聞いたとたん、
謎の言葉を残し、倒れてしまう・・・・。

鏑木は死体の謎を解くとともに、姫野が口にした
言葉が気になった。姫野は咲を知っているのか?
いつ、どこで・・・?

咲の身辺を捜査し始めた頃、新たな殺人事件が起こった。
湾岸にある高層ホテルの屋上で焼死体が発見された。
被害者は殺害される直前、110番通報をしていた。
警察はすぐさま現場に急行したが、手遅れだった。
屋上の鍵はホテルの中からかかるようになっていた。
犯人は警察が来る前に屋上から出て鍵をかけて逃げたのか?
そんな時間は無かったはずだ。
ではどんな手を使って逃げたのか・・・?まさか空を
飛んだ・・・・?

空を飛ぶ・・・。今回の事件のキーワードはそれか・・・?
鏑木たちが様々な推理を展開する中、焼死体の身元が割れた。
ある政治家の秘書だったのだ・・・。

刑事部主導の捜査のはずが、なぜか公安が出張ってきた。
お互いに情報は共有できない。
だが、捜査一課長が鏑木たちの隠密行動を許したのだ。
やがて、咲が大学のサークル「タンポポの会」で
活動していたことに辿り着く・・・。

「デッドマン」のぶっ飛んだ展開、「ドラゴンフライ」の
衝撃的な謎の連鎖、そして「ダンデライオン」は、これらを
はるかに凌駕する面白さだ。
ありえない死体の謎、密室、そしてさらなる謎をよぶ
焼死体。本格推理小説なみのトリックに息を呑む!
さらに、警察小説の捜査の醍醐味と組織の軋轢をバランスよく
描き、ミステリ好きにはたまらない展開になっている。
シリーズごとに面白さが進化しているのだ。

シリーズ新作を待ちたい!

『ダンデライオン』
著者:河合莞爾
出版社:KADOKAWA(文庫)
価格:¥800(税別)

「デッドマン」の‘鏑木特捜班’再集結!「ドラゴンフライ」

横溝正史ミステリ大賞受賞作「デッドマン」の第2作「ドラゴンフライ」。
「デッドマン」で難解な殺人事件の真相を暴いた
鏑木警部補率いる「鏑木特捜班」が再集結した。

ひらめきと刑事の勘が冴える・鏑木警部補、べらんめぇ口調
で鏑木と同期の正木警部補、お金持ちで先輩にも
時々上から目線、けれども真面目で今風の若者・
姫野巡査、科警研でプロファイリングが専門、
頭が切れる澤田。
この4人が、新たに起こった猟奇殺人事件に挑戦する。
「デッドマン」以上の面白さで物語が展開する。

多摩川の河川敷で、内臓のほとんどを抜き取られた
惨殺死体が発見された。
警視庁捜査一課の鏑木警部補率いる特別捜査班は、
現場に残されたトンボのアクセサリーを手掛かりに
群馬県奥地の村へ向かう。
トンボのアクセサリーは手作りだったため、作成者は
すぐに判明した。その村をこよなく愛する女性だった。
鏑木たちがアクセサリーの写真を見せると女性の表情が
曇った。そして惨殺死体の身元が割れたのだ。

被害者は女性と同村出身の男性だった。
子どもの頃からトンボが大好きで、大人になってからは、
トンボが多く生息する奥の沢の自然を守ろうと必死になっていた。
だが、奥の沢はもうじきダムの底に沈む・・・・。

そしてそのトンボのアクセサリーからさらに、被害者の
人間家系が浮かび上がってきた。
被害者の男性には2人の幼馴染がいた。
ひとりは建築家、そして奥の沢のダム関連で仕事をしている。
もう一人は、生まれた時から目が不自由な女性だった。
子どもの頃男二人で、盲目の女性をずっと守っていたらしい。
しかし、彼女の両親は20年前に何者かに殺害されていた。

鏑木は、その両親殺害事件と今度の猟奇事件が繋がっている
ような気がしてならない。
またもや刑事の勘とひらめきが、あとの3人を動かすのだった。

ダム建設の裏で動く莫大な建設費と不正疑惑、そしてダム建設反対運動、
巨大なトンボ伝説などなど事件との関連が次々と明らかになってゆく。

次々と深まる謎、鏑木の推理、それを打ち砕くがごとく
新たな謎が現れる・・・。
やがて、事件に絡んで必ず登場する、不気味な符牒「トンボ」
の導きで謎のピースが一つに合わさった時、
胸が潰れそうな非情な真実にたどり着く・・・。

読めば読むほど面白さが増す、「鏑木特捜班」シリーズ。
次は「ダンテライオン」!

『ドラゴンフライ』
著者:河合莞爾
出版社:KADOKAWA(文庫)
価格:¥840(税別)

謎多きフェルメールの姿が生き生きと描かれる「フェルメールの街」。

「シンデレラの告白」の著者、櫻部由美子さんの
待ちに待った新作が発売されました。

「シンデレラの告白」は誰でも知っている
おとぎ話をモチーフにし、幻想的かつ精緻な
大人のミステリーに仕上げ、その完成度の高さで
第7回角川春樹小説賞を受賞。
本当に素敵な物語で、はまさきの大好きな作品。

そして第2作目「フェルメールの街」は、日本人が大好きな
画家、ヨハネス・フェルメールを主人公に、
親友、アントニー・レーウエンフックとの友情
そして妻となる女性との運命の出会いがドラマチックに描かれている。
若きフェルメールたちが暮らしていた、デルフトという街は
陶器の名産地。その頃、陶工が失踪するという事件が起きていた。

当時のデルフトという街は一部そういうきな臭さはあったようだ。
子どもの頃に親友同志だった、フェルメールと後に微生物学の
礎となる科学者・レーウエンフック。
レーウの引っ越しで別れてれてしまうが、大人になってからデルフトで再会する。

気弱で引っ込み思案だった、レーウは明るく華やかな美青年に成長していた。
服の商売をしていたため、とてもおしゃれだった。
再会を喜び合った二人はたちまち意気投合する。

その頃、フェルメールは、著名な画家の弟子となり、絵の修業の
真っ最中だった。絵の題材を求め、娼館のあたりにも出かけた。
フェルメールはそこで、ひときわ目を惹く一人の女性と出会う。
良家の子女でありながら、なぜか娼婦のまね事をする奇妙な女性。
強がっているけれど、はかなげなその女性に強烈に惹かれた
フェルメールは、結婚を申し込む・・・・。

そんなある日、フェルメールとレーウは散歩途中で、
老人の変死体を発見してしまう・・・。

フェルメールは故郷・デルフトにとても愛着を感じていたらしい。
子どもの頃からの仲間たち、愛する女性、親友との日々。大切な家族・・・。
フェルメールが愛して止まないこのデルフト。
だが、デルフトの街を巨大な「悪意」が黒くおおいつくそうとしていた。

フェルメールを巡る物語に味付けされた、ミステリアスな事件。
それを発端に、やがて大きな悲劇がデルフトを襲う・・。

魅力的なキャラクターと数々の名画に彩られたフェルメールの新たな物語。
虚実織り交ぜドラマティックに描かれた物語に魅了される。

『フェルメールの街』
著者:櫻部由美子
出版社:角川春樹事務所
価格:¥1,400(税別)

KYキャリア刑事が活躍「生活安全課0係」シリーズ最新刊「エンジェルダスター」

「生活安全課0係」は小泉孝太郎さん主演でドラマ化されました。
この夏はセカンドシーズンも放送され大好評!!
そしてタイミングよく新刊「エンジェルダスター」も発売。
既刊本も全部読み、待ちに待っていた新刊です。

読み始めると、小早川警部のイメージはもう
小泉孝太郎さんしか浮かばない~。

そんな生活安全課0係、通称「なんでも相談室」に相談が舞い込んだ。
新聞記者の笹村に奇妙な脅迫状が届いたので、
調べて欲しいとの事だった。
笹村は、5年前ある女子生徒がイジメの加害者ととれる記事を
書き自殺に追いやってしまったことがあった。
当時、その女子生徒の父親から、娘が生まれたら殺すと脅され、
去年、娘に恵まれたがその復讐を恐れていた。

同じ日、吉永という年配の女性が、自分の友だちの孫が
行方不明になっているので捜してほしいと相談に来た。
吉永は以前、小早川にとても親切にしてもらい、
警察に相談するならここだと決めていたらしい。
だが、行方不明の孫はすでに24歳の青年で話を
聞くととんでもない悪童だったようだ。
それでも溺愛する孫だから、どうしても捜して
ほしいとのことだった。

さらに、町内会の相談事だ。隣家の住人が、自分の家の敷地内に
夜ごみを捨てるから辞めて欲しいと訴えたが、隣家の住人は
そんなことをしていない言い張り険悪な状態になっているというのだ。

小早川警部ほか生活安全課0係のメンバーたちはそれぞれ
捜査をすることに・・・。

調べれば調べるほど謎に包まれる3件の相談事・・。
果たして彼らは真相に辿り着くことができるのか?

またまた小早川の洞察力と推理が冴える!シリーズ最新作。
めちゃめちゃ面白いです。

『生活安全課0係 エンジェルダスター』
著者:富樫倫太郎
出版社:祥伝社
価格:¥630(税別)